匿名組合出資とは?
ツイート匿名組合出資に関する主な説明事項について
匿名組合出資の概要をAMが投資家に対して説明する際の主な項目には、以下のようなものがあります。
1.ファンド特性
出資を投資家が検討している不動産ファンドがどのような運用スタイルをとるのか、あるいは、どのようなプロパティタイプを対象としているのかなど、基本的なファンドの特性について説明を行う必要があります。
2.AM(アセットマネジメント会社)
このAMが不動産ファンドの不動産運用を担います。従って、AMの運用次第で投資家の分配水準が変わるということになりますので、誰がAMを実施するのかという点の説明は必須です。一任勘定型の場合には、AMがローンの調達や物件の選定などをすべて担うこととなりますので、それまでのAMの運用実績を明示することが重要となってきます。
3.投資形態
GK-TKスキームでの匿名組合出資の形態で、どのようなことが行われるのかという点についての説明です。優先・劣後構造をとることがあるのが、不動産ファンドなどの場合です。優先匿名組合出資(優先エクイティ)の保有者は優先匿名組合員と呼ばれ、劣後匿名組合出資(劣後エクイティ)の保有者のことは劣後匿名組合員と呼ばれます。
共同出資が同順位でなされた場合には、その出資額に比例して配当が行われます。その都度違った金融機関からノンリコースローンを受けることを検討するような、物件取得期が複数に分かれる場合によく用いられるのがダブルSPCスキームです。
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4.投資対象
一任勘定型の場合は物件固定型と違って投資対象が未定なため、投資基準や投資方針のみの記載となります。
5.資産規模
数百億円から数千億円と資産規模が大きくなるのが、一般的な一任勘定型です。機動的にAMが複数物件の取得を行うためには、ある程度の額が必要なためにこうした額になります。
6.募集予定額
匿名組合出資の総額を指します。一定の額をAMやAMのスポンサーが負担することもあります。投資家と同じ船に乗るという意味から、この出資を政務ボート出資などと呼ぶことがあります。
7.申込単位
申込単位の額が「5億円以上で1億円単位」という風に示されます。
8.LTV
LTVとは、負債比率のことです。ローンの調達をどの程度のLTVで行えるかが示されます。なお、レバレッジ効果、あるいは逆レバレッジ効果に十分な注意を払う必要があります。
9.運用期間
ファンドの運用期間を指しています。運用期間、投資対象物件を取得するための期間、売却機関の3つが設定されるのが一任勘定型の場合です。
10.利回り
この指標は投資家へのリターンを表します。以下で4つの代表的な指標を紹介します。
・現金分配利回り
これはキャッシュ・オン・キャッシュとも呼ばれる、毎月の現金分配を直近の出資残高で割ったものです。CFが現金分配となりますから、CFベースの利回りが現金分配利回りであると言うことができます。
・損益分配利回り
これは会計ベースの利回りともいうべきもので、毎期の損益分配を直近の出資残高で割って算出します。
・IRR
IRR(内部収益率)とは、投資に対して得られるCFがそれぞれに異なる場合にその平均利回りを示すものです。外資系のファンドではキャッシュ・マルチ・プル(当初の出資額と比較して現金がいくら増えたのかという指標)がよく用いられています。
11.配当時期
利益分配及び金銭分配をどの時期に行うかということです。通常の現金分配は、匿名組合の決算時期の2〜3か月後に損益分配が確定した時点で行われます。
12.払込予定時期
物件追加取得型や物件固定型のケースでは、ある程度出資金払込時期を明確化することができます。一任勘定型のケースでは、AMからの追加出資要請(キャピタルコール)に拠ることとなります。
13.解約・譲渡等
原則として、ファンドの運用期間中に匿名組合出資を途中解約することはできないことになっています。
14.出口
不動産は上場株式などと比較すると、流動性が低いため、不動産ファンドにおいては出口戦略が極めて重要となります。投資不動産をどのように処分し投資家の資金を償還し売却益を得るかという戦略が出口戦略と呼ばれるのものです。
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