アセットマネジメントの資金計画とは?
ツイート基本的な消費税の考え方
消費税は資金計画を作成する上で無視することができないものですので、以下で基本的な部分について触れてみます。受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて、その残額を納付するというのが「消費税」です。
受取りもしくは支払いを納付する前に一旦行うため、前者を借受消費税と呼び、後者を仮払消費税と呼びます。後者が前者を超過していた場合には、その分の還付を受けることができます。
例えば、オフィスビルの取得を想定した場合、土地建物の代金だけでなく、合同会社は建物等消費税についても支払いを行わなければなりません。合同会社の借受消費税は取得時のことだけを考えるとゼロですが、仮払消費税は発生します。ですから、その分の還付を受けることが可能となります。
納税の義務が生じていなければ、還付を受け取ることはできません。一般の個人には、消費税の納税義務はなく、課税売上を一定程度上げた事業を営んでいる課税事業者に義務が課せられます。当初組成時には、売上実績がないのが合同会社ですから、届出によって課税事業者と認められていなければ還付を受け取ることはできません。
この他にも消費税に関しては、簡易課税の選択や計算期間の選択、免許事業者の選択などの選択如何、あるいは課税売上の割合などによって資金計画のCFが大きな影響を受けることとなります。ですから、十分な相談を会計税務事務所などと行い、予めシミュレーションをしておく必要があります。
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資金計画(CFベース)と留意事項について
初年度の公租公課が必要ないというのが、主たる留意点です。1月1日時点の所有者に課せられるのが、固定資産税及び都市計画税の納税義務であるため、買主がそれ以降に引き渡しを受ければ、上記の税金を同年度に支払う必要はなくなります。
また、不動産に対しては組成時から保険に入っておく必要がありますので、保険料の支払いは組成時には終わっています。ですから、保険料という運用段階で発生した支出が改めて初年度に発生することはないということにも留意しておく必要があります。
また、会計上の費用とはならないものの、現金の支出が必要となるのが大規模修繕の資本的な支出です。借入元本の返済も同様です。
資産計画(会計ベース)と留意事項について
大きくCFベースと異なる点は以下の2つです。
減価償却費
減価償却費は会計上、費用として控除されます。その支出が組成時に完了している建物や設備の取得に用いられたコスト(これを取得原価という)を建物や設備の使用期間に渡って按分して費用とするするのが減価償却費です。
会計税務事務所で組成完了後に行うのが、減価償却費の算定です。減価償却費を控除した利益が利益配分のベースとなりますので、減価償却費がどの程度発生するかについては十分に考慮しておく必要があります。特に、償却の年数や土地及び建物には気を留めておかなければなりません。
融資手数料
組成時に支出されているのがローンのアップフロントフィーなどのコストですが、こうしたコストは会計上、一旦長期前払費用として資産に計上し、費用としての按分がその効果が発生する各期間に行われます。
このように、会計とCFでは一致しない項目があるため、合同会社のリリース口座に決算末時点で残る会計上の利益とCF上の利益は一致しません。期末時点で純資産の部の匿名組合損益に計上されるのが利益分配で、BS資産の部の現金として計上されるのが金銭分配分です。
それぞれは決算後に投資家に分配されます。翌決算期末に投資家の出資残高が減少することとなります。
ディスポジション時の資金計画とは?
資金計画(CFベース)と留意事項について
これは、ディスポジションの際の資金の動きについて、売却額等の予測を行い明示したものと言えます。
資金計画(会計ベース)と留意事項について
売却額−簿価−売却コストで算出できるのが売却時における会計上の損益です。ちなみに、前期末時点の簿価−減価償却費(当期)+資本的支出(当期)で計算されるのが簿価です。
ここまででわかるように、売却時点の簿価は、期中の減価償却費が多い場合にはその分下がりますし、それが少ない場合には大きく下がることはありません。会計とCFでは上記のような不一致の点があるため、売却に伴って合同会社のリリース口座に決算末時点で残る会計上の利益とCF上の利益は一致しません。
利益分配は期末時点で純資産の部の匿名組合損益に計上され、金銭分配分はBS資産の部の現金として、それぞれが決算後に投資家へと分配されます。
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