アクイジション時の資金計画について
ツイート当初資金計画の概要について
投資対象不動産の取得を行うためには、まず。、資金をどれだけ調達しなければならないのかを明確にしなければなりません。当初資金計画はこのために用いられます。資金使途と資金調達の2つに分けて、以下で解説したいと思います。
当初資金計画の「資金使途」とは?
@不動産信託受益権
現物不動産と同様に、不動産信託受益権も土地と建物に分けることが可能です。減価償却費の算定や消費税額は、この土地建物按分比に影響されます。
A建物等消費税
建物の不動産信託受益権は、消費税の課税対象となります。組成コストにも消費税が課せられるものがあるため、建物等となっています。
B組成コスト
不動産信託受益権を取得するためには、取得関連の他に、仕組みのチェックや資金調達などの様々なコストが必要になります。
C積立金等
信託受託者の口座内に敷金等返還準備金、運転資金留保金、修繕積立金が積立てられます。
D資金使途合計
投資対象不動産を取得するのに必要な額は、@からCの合計額です。
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当初資金計画の「資金調達」とは?
E借入金
レンダーからのノンリコースローン(借入金)を指します。
F預り敷金
合同会社が、テナントから売主が預かっていた敷金相当額を承継したものです。上記の敷金等返還準備金として、同額が積立てられるのが多くのケースです。
G匿名組合出資
投資家(匿名組合員たる)の出資金(匿名組合出資)を指します。
H資金調達合計
投資対象不動産取得のために調達する金額は、EからGの合計額となります。
「組成コスト」の概要について
<主に物件の取得に伴う費用>
A.登録免許税・司法書士手数料
信託設定登記、信託変更登記に関わるのが登録免許税です。登録免許税法に税額についての規定がありますが、適宜の軽減措置が租税特別措置法によって認められています。
通常ですと、見積もりによって司法書士手数料が割り出されます。司法書士事務所や作業量によって変動がありますし、交通費などの実費が地方物件の登録手続きの際には含まれます。
B.ER取得費用
ERの作成を担う業者に対して支払う報酬を指します。その額は通常見積もりによって決まり、業者や業務の内容によってその額が変動します。
C.鑑定取得費用
不動産の鑑定を行う業者に対して支払われる報酬です。通常は見積もりによって決定し、業者や業務内容によってその額が変わってきます。
D.マーケットレポート(MR)取得費用
その額が見積もりによって決まる、MR作成業者に対して支払われる報酬のことです。会社や業務の内容によって報酬の額が変わってきます。
E.媒介手数料
媒介業務を担った第二種金融商品取引業者へ支払われる仲介手数料のことです。業者や業務の内容によってその額は異なります。
F.信託報酬
当初信託報酬のことで、これは信託受託者へ支払われます。信託受託者や業務の内容によって報酬額に違いが生まれます。
G.固定資産税・都市計画税清算金
任意によって売買当事者が各々の負担額を決めるもので、決してこの額が税金そのものというわけではありません。であるがゆえに、売買金額の一部と租税上はみなされ、建物部分に相当する清算金は消費税の課税対象となります。
H.保険費用
不動産運営の費用となるのが保険ですが、保険を取得時から付保しておく必要があり、さらには支出も必要となるため、当初資金計画にも含まれることとなります。
<主にストラクチャーのチェック・組成に必要な費用>
I.「法律意見書」取得費用・弁護士報酬
これは、ドキュメンテーションサポートや法律事務所への意見書作成費用等に必要となる費用のことです。事務所や事務の内容によって報酬に違いが生まれます。
J.「会計・税務意見書」取得費用
会計税務事務所に対して支払われる意見書作成の費用です。こちらも事務所や事務の内容によって報酬が異なります。
K.事務委託報酬
これは当初報酬で、合同会社の事務等を受託する会計税務事務所へ支払われます。期中報酬との兼ね合い、あるいは事務所、業務の内容によって報酬額が変わってきます。
L.AMフィー
会社や業務の内容、あるいは運用報酬との兼ね合いによってその額が異なるAMへの取得報酬です。
<主に資金調達に必要な費用>
M.私募取扱手数料
投資家勧誘の業務を担った第二種金融商品取引業者へ支払われる手数料のことです。業者や業務の内容によってその額に違いが生まれます。
N.アップフロントフィー
「融資手数料/貸付手数料」のことで、レンダーへ支払われます。スプレッドとの兼ね合い、あるいはレンダーや業務の内容によって手数料額が変動します。また、法律事務所へストラクチャーチェックやドキュメンテーションで相談した際の相談費用等は、貸主である合同会社が負担するのが通常の場合です。
なお、複数のレンダーが存在する場合、貸出期間中の各レンダーの取り纏めを担うレンダーへのエージェントフィーや、融資実行までの取り纏めを担うレンダーへのアレンジメントフィーなどが必要となることもあります。
会計利益計算の資金使途額の振り分け
匿名組合事業の財務諸表に基づいて行われるのが、投資家への利益分配です。会計上の利益を損益計算書の上で計算するには、大きく2つに資金使途を分解し整理しておく必要があります。1つは、減価償却費の額を計算する上で欠かせない取得原価(不動産取得のために直接必要となったすべてのコスト)に含まれているものです。
この取得原価は、償却年数で建物本体と設備部分を均等按分し、減価償却費(費用として他店の・設備の価値低下分を計上したもの)として費用計上されます。もう1つは、費用をファンドの運用期間内に均等に割り振るための長期前払費用(運用機関のために使われた費用)に含まれるものです。
運用期間で均等按分されるのがこの長期前払費用で、融資手数料として次回以降は費用計上されます。
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